「保護猫と触れ合って、美味しい食事がしたい」そんな願いをかなえてくれるのが、横浜市上大岡にある保護猫カフェ「しゃるむgraden」です。
1Fがカフェスペース、2Fが保護猫スペースとなっているこのカフェは、2025年2月で1周年を迎えました。
今回、オーナーの冨田さやかさんにインタビューをし、保護猫カフェを開いたきっかけや猫たちへの思い、今後の展望をお聞きしました。カフェで味わえる、こだわりの料理やスイーツについてもご紹介します。
目次
基本的にカフェの猫たちは譲渡しない

しゃるむgradenは保護猫カフェではありますが、「保護猫がいる猫カフェ」です。そのため猫たちを基本的には譲渡しません。その理由を冨田さんは「猫たち同士を引き離したくないから」だと話します。
「ここには10匹の保護猫がいます。多頭飼育崩壊の同じ家から引き取った7匹の家族に、野良ママが産んだ子猫3匹が加わって時間をかけて仲が良い大家族になりました。そういう経緯でみんなで仲良くしているので、今は譲渡は考えていません。ただし、年老いたりして他の猫と不仲になった場合は、様子をみて譲渡することもあるかもしれませんね」
森をイメージした落ち着く部屋とおだやかな猫

保護猫スペースには同時に8人まで入店可能です。21時まで営業しているのは、 会社の帰りなどに来てほしいという冨田さんの思いからです。
しゃるむgradenのコンセプトは「森」。猫たちは「森の住民」です。
保護猫スペースは森の中をイメージしており、大きな木製のキャットタワーや、人が座れるほど大きなハンモック、木々が描かれた壁紙など、人も癒やされる空間になっていました。
部屋の中は整頓されて清潔感があり、動物特有の臭いもありません。手洗い場、猫の毛を取る粘着クリーナーもあり、猫の毛が気になる人も安心です。
森の住民である保護猫たちは毛並みが良く、大切にされているのが伝わってきます。
伺った時間が15時頃だったため、猫たちはお昼寝をしていました。猫たちの印象はとっても穏やか。小さなお子さんが猫じゃらしで昼寝中の猫をナデナデしていても、まったく気にせず起きません。
スタッフの方の話によると、若い猫はやんちゃな時もあるそうです。それでも先輩猫たちは怒ることなく優しく見守っていて、いいバランスで過ごしていると言います。

人懐こい猫たちだから保護猫カフェを開いた

冨田さんが保護猫カフェを開いた一番の理由は、猫たちの性格にあります。
「今いる猫たちに出会ったということが保護猫カフェを開いた一番の理由です。とっても人に懐く猫たちだったので、カフェを開こうかなと思ったんです」
冨田さんは長年にわたり猫の保護活動をしています。初めは自宅を拠点に保護や譲渡をしており、一時は40匹ほど飼育していたそうです。
7年前には、横須賀市YRP野比駅周辺に約20匹を収容できる保護猫シェルター「ねこ、いいよレスキュー」(HPはこちら)を作り、ボランティアスタッフと協力してお世話・里親探しをしています。シェルターでは猫と直接面会も可能です。
しゃるむgardenを開くきっかけになった猫たちには、平塚の動物愛護センターで出会いました。
「自分のシェルターに空きが出たタイミングで愛護センターに連絡するんです。センターで実際に猫たちに会って、引き取りを決めました。みんな多頭飼育崩壊の所から救出された子たちですが、誰にでも懐くんですよ。人懐こい猫たちだと分かった数カ月ぐらい後には、猫カフェを開こうと考えてましたね(笑)」
愛護センターから引き取った7匹は、クリームくん、チャオくん、アルミンくん、きじ太郎くん、レオンくん、エレンくん、シオンくんです。センターから引き取ったときにすでに名前が決まっていたため、そのまま変えていないそうです。
その後、当時は子猫だった3兄弟のジャックくん、ピノコちゃん、バーニーちゃんが仲間入りしました。ジャックくんは保護当時、かまれて頭蓋骨にまで達する大けがをしていたところから一命をとりとめました。名前は、医療漫画『ブラック・ジャック』の主人公に由来しています。

ティッシュ配りでお客さんを呼び込む!

カフェがある場所は上大岡駅から5分ほどの場所にあるため、駅からのアクセスも良く、道を間違えなければスムーズに到着できます。
実際、保護猫スペースはオープンしてすぐにお客さんが入ったそうです。上大岡の保護猫カフェは、しゃるむgarden1件だけという理由もありますが、集客に効果的だったのがティッシュ配りでした。
「あちこちでティッシュ配りをやったんですよ。今も続けてますよ(笑)お客さんがいない時がありますから、その時間にやっています」
17時以降は比較的空いているそうなので、会社帰りを狙って行くのもおススメです。
1Fでは素材にこだわった食事とスイーツが楽しめる

1Fはカフェで食事やスイーツを楽しめます。1Fのみ、2Fのみ利用も可能で、2Fにドリンクを持って行きたい場合は、オーダー時に伝えれば持ち運び仕様にしてもらえます。
冨田さんは基本的に1Fのカフェスペースを担当しています。1Fと2Fでカフェと猫スペースに分けたのは、もともとの物件が2階建てというのもありましたが、何より衛生上からの理由だそうです。
「食べるところと動物の場所は完全に分けた方がいいかなと思いました。1Fと2Fを行き来すると猫の毛が料理に入る可能性があるので気を付けています」
カフェの食事やスイーツは、良い素材を使い低糖質にするなど、体に優しいものばかりです。これは冨田さん自身が食事を大事にしていて、体にいいものを提供したいと考えているからだそうです。
もともと料理が好きだったこともあり、お店のメニューは主に冨田さんが考案しています。
「季節ごとの限定メニューなどは従業員さんのレシピを採用することもありますよ。メニューのアイデアはまだまだあるので、お客さんが増えたらもっと出す予定です(笑)」
ケーキも趣味で作っていた冨田さんですが、お店で売れるように改良するまでには2年程かかりました。
「独学ではなく、プロの力も借りたんです。リモートで、お菓子屋さんの先生に教わりました」
そんな努力もむなしく、オープン当初は保護猫スペースばかりが人気で、カフェの利用者は少なかったそうです。しかし、今では状況が好転しています。
「1年たって1Fも少しずつお客さんが増えてきました。猫スペースに行った後に利用してくれることもあって、少しずつカフェのことも知られるようになってきましたね」

となりにはシュガーパウダーで描かれた猫が!
しゃるむgardenが譲渡を広める拠点になれば

しゃるむgardenは保護猫カフェという役割だけではなく、譲渡を広める拠点という役割も果たしています。
「里親募集のポスターは、店内や店外に貼ってありますが、一般の人も貼れるようにしています。私が運営するシェルター付近の商店街にも貼っています。『しゃるむgardenに行けば、猫の情報が聞ける』と認識してもらえるので、効果はゼロではないですよ。ポスターを見たお客さんに、里親になりたいと相談されたら勧めることもできますから」
「実際に猫ちゃんが里子に行った時には、ここを開いてよかったなと思いました。 ここのお客さんや飛び込みで来たお客さんが、『譲渡してほしいんですけれども』 って言ってくれて、ポスターに載っていた猫や、シェルターの猫など8匹以上を里子に出したんですよ」
「今後も今のまま続けていって、お客さんや里親候補さんも増やしたいです。従業員やシェルターのボランティアのみんなと力を合わせて、これからも猫たちのためにがんばりたいですね」
保護した猫をなるべく近場に住む里親さんに譲渡したい、近場の保護主さんから迎えたいと考える人には、しゃるむgardenは特に最適な場所になっているようです。
猫カフェと食事が楽しめる保護猫カフェはそう多くありません。
一度足を運んで穏やかな猫たちと触れ合い、体が喜ぶ食事を堪能してみてはいかがでしょうか。
インスタでは毎日のように猫たちの様子が投稿されています。一列に並んで食事を取る姿など、かわいらしい姿をぜひチェックしてみてください。
しゃるむgarden
Instagram:https://www.instagram.com/charme._.garden/
住所:横浜市港南区上大岡西2-10-21
営業時間:1F 11:00〜21:00
2F 11:00〜21:00
定休日:水曜日
電話番号:050-1301-7054
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